ワンピース実写版 ネタバレ(もくそもないけど)あり感想

・良かった。

 

・令和版 尾田栄一郎による「東の海編」再解釈

 ワンピースという漫画作品を映画に落とし込む手腕は当然ながら、監修の尾田先生が「今、もう一回ワンピースを描き直すならこうするだろうなぁ〜」って思ったんだろうなっていう改変がちょいちょい見られて嬉しかった。

 

・シャンクスの「失せろ」が描写的に覇王色で確定している(多分初めて)

・ヒグマが煙幕一つでシャンクスから逃げ切っていない

・くいなの死因が階段と明言されていない

↑ここら辺はぶっちゃけ後悔してるんだろうなと思えて笑った。 

・最初のロジャー処刑シーンにドラゴン、シャンクス、ミホーク辺りが出てる

・近海の主がめっちゃ強そう(これなら腕喰われてもまあしゃーない!)

・初期ゾロ特有の明るさが無くなって、最初からクール版ゾロ(だいたいウォーターセブン編以後)になっている

連載黎明期特有の変なキャラ設定のブレを25年越しに修正する力技

 

・ワンピースの洋画化

前述のものが「改良」で、ここからが本当の意味での「改変」かも。ワンピースを1時間×8話の「実写映像」に落とし込むための改変がかなり沢山あった。実写映画にするならこっちの方が良いね!っていうものもあれば、明らかに賛否両論っぽいのもある。

 

・バギー

めっちゃ良かった。明らかにヒース・レジャーのジョーカーの影響を受けててかっこいい。というか怖い。作中内の言動も改変されており、漫画版のコミカルさがかなり削ぎ落とされてジョーカー系ヴィランの系譜を忠実に辿っている。個人的に今回の実写で一番良いキャラだと思った。

 

・メリーが死ぬ

原作では猫の手で撫で斬りにされる程度で割と余裕があったが、あれで心臓を貫けば確実に仕留められるわけだし、計画云々言いまくってるクロがそれをしない理由が無い。

 

・↑に繋がることだけど、全体的に描写がハードになってた。一番印象的なのはゾロが普通に人殺しまくること。やっぱ刀で人のこと斬っても死なないのって少年ジャンプに載ってるからであって、普通は死ぬ。

 

・シャムが女

確かにあの格好で名前がシャムでネコ要素満載の男って今の時代いろいろ危ないかも。

 

・ウソップ編全般

原作ファンからしたら一番賛否両論ある部分なんじゃないか?と思うんだけど、ウソップ編は骨組みからして改変されている。

原作はウソップの「嘘つき」もしくは「海賊の息子、勇敢な戦士」としての誇りや矜持を守る戦いというのがコンセプトとしてあるのに対して、実写版はウソップとカヤのラブロマンスを骨子としている。

そのため、ウソップ海賊団は存在が消されており、ウソップがクロにヤソップを馬鹿にされて激怒するシーンやルフィの「もっかいウソップを笑ったら殺す」もカット。戦いを村のみんなに知らせないみたいなくだりも無い(そもそもメリー死んでるし秘密にするの無理だろ)。

原作版のテーマはまんま俺がウソップ編の好きな部分だから残念だけど、実写版約2話ぶんでこの話を上手く纏めるにはラブロマンスってのはわかりやすい落とし所だしまあ納得...(ジャンゴとか出してたら2時間で収まってなさそう)

・カヤとウソップがキスして別れる

これは無しだろ😭原作版のくっつくかくっつかないか微妙な感じに答えを突きつけた。

最初は尾田先生これにOK出したのか!?とびっくりしたものの、後から知った情報でこれは良采配かも、と思うようになった。

どうも、尾田先生は「仲間同士の恋愛」に断固たるNOを出していたらしい。NOを出したっていうことは一度Netflix側の提案で恋愛描写があって、それを作者側で却下したということ。でも、Netflix側は恋愛シーンを入れたい(ハリウッドのお約束というやつ)。そこで食い違う両者の折衷案として可決されたのが、ウソップとカヤの恋愛なんじゃないか?そう考えると非常に納得がいく。というか、尾田先生がガチで監修してなかったらナミが一味の誰かしらとキスしてたかもしれないということ。超怖え。(実際バラティエでゾロとナミが話すオリジナルシーンで、なんかフラグ立ってね?って感じるような怪しい雰囲気はあった。)

それにしても、ウソップ海賊団とメリーがいないカヤ流石に孤独すぎないか。部屋もなんかキモかったし

 

・ナミが1億円を貯めていることを村の人間が知らないことになっている

これのせいでノジコがナミの理解者ではなくなってるどころか、誤解でナミを激詰めするシーンがあってつらい。

村のみんながナミが金集めしてるのを承知でアーロン一味に加担させてたとなると完璧に児童搾取にあたるので描写できないという考察をTwitterで見て、なるほどねい...と思った

 

・削ぎ落とされてる部分

そもそもの原作がほぼ完璧であって、それを全部再現できないとなると、どこかしらをカットしないといけない。以下カットされた部分で俺が思ったことを適当に

 

・クリーク

ほぼ全カット。ミホークに暇つぶしでボコられるだけ。明らかに尺の都合であるが、バギー、クロ、クリーク、アーロンの中で、一人を切らなきゃならないと考えたときに俺なら誰を切るか。ん〜〜〜〜〜。

必殺技が毒ガスなのがちょっと駄目なのかなとか思ったり。

でも、ゼフがサンジの思想を知るきっかけになったり、サンジ過去編のスムーズな導入に必要なので、ガチでピラフ食うためだけにギンが出てくる。ピラフを食う時のスプーンの持ち方が完全再現されている。

 

・ガイモン

残当

 

・幹部戦全般

これは残念!東の海編の良いところって幹部戦が今では考えられないペースで消化されてくところだと思ってるので

モージ...リッチー無し、戦わない ライオンはしゃーないね。

カバジ...ゾロにナイフ投げて遊ぶだけ

ジャンゴ...いない

パールさん...いない

ここまではまあしゃーないかって感じなんだけど、アーロン編はもうちょい何とかして欲しかった。

ハチ...いない。

チュウ...一応原作通りに展開するけど、一番肝心なウソップ死んだフリ→泥ゴシゴシ→みっともねェ!の件りがない。ここウソップのキャラ造形で相当重要な部分だと思うんだけど。すげー順当に勝ってた。お前それ最初からできるならもう勇敢なる海の戦士やん。

クロオビ...俺が東の海幹部戦で一番好きなvsサンジの水中戦が無い。ハチがカットされてる影響で、サンジとゾロを一手に請け負う激強魚人になってた。

 

・あとアーロンがゾロの傷にビビって「こいつは今確実にここで殺しておかねばならん男だ」って言うシーン、あそこアーロンが脳死で全人間を見下してないことがわかる良いシーンなので入れて欲しかったです。というかアーロン編はぶっちゃけあと1話追加して丁度良いぐらいだと思う。

 

こんぐらいかなあ。逆に言えばこれ以外のやって欲しいシーンはほぼ網羅してるってことなんで、総評としては素晴らしいね。

 

・ストーリー構成について、コビーが完全に第二の主人公になってて割と最初から最後まで出張る。漫画の連載で延々あれやられたらうざそうだけど、8話のドラマとしてはこれのお陰で相当収まり良くなってると思う。あとヘルメッポがめちゃくちゃ良いキャラになるのが神。

 

・キャスティング

良かった。一部なんでこれこうなったってキャラはいるんだけど、全体的に±で見たらめちゃくちゃプラス。麦わらの一味とかサブキャラは勿論似てるんだけど、プードル村長とか、モーニンさんとか、意味わからんキャラがあり得ないぐらい似てるのがウケた。一目見て「モーニンさんだ!」って確信できるってヤバくない?メリーとかはあの髪型を完全再現してて流石にちょっとキモいんだけど、なんか実写特有のコスプレ感もほとんど感じなかった。

 

ぱっと出てくるのはこんなところかなあ。総評としては良かった。ワンピースの流れ知ってる人でも多分楽しめる。詳しい人はもっと面白いと思いました。またなんかあったらツイートするわ。